■コンセプト
戸建て住宅地の中にある集合住宅として、地域に自然に受け入れられる住まいのあり方として、専有空間のみをもつ重層長屋形式を採用し、建築形態においても、戸建て住宅のスケールに合わせた適度に分節した形態を提案しています。
スケルトンの一室空間
若年層をターゲットにした賃貸住宅ということで、素材のグレードにこだわらずに、豊かで楽しく、開放的な空間をつくることにこだわりました。その分、スケルトン(建築構造体)のコストは高くなりますが、内部仕上げでコストを抑えた計画としています。
ユーザーがインテリア的な工夫(家具で調達できる収納)で機能的に満足し得るものに関しては極力排除し、同時に、部屋の間仕切壁も建築的なプランニングの工夫によって排除しました。キッチン設備に関しても、シンクとガスレンジのみのシンプルなステンレスキッチン(無印良品製など)を使用し、引き出しなどの収納は住人が各自家具として選ぶことを想定しています。
駐車スペース
駐車スペースは1世帯あたり2台の計画としていますが、全世帯が2台所有するとは限らない状況を考慮して、そのような空スペースが南側道路を含んだ住環境にゆとりを与えることのできる配置計画としています。出入口の位置が制限される共同利用の駐車場とはせずに、各戸小規模の専用ガレージとすることで、路面全体に駐車スペースを確保できます。
サンルーム
南面道路という敷地の最大の特徴を活かすために、採光・通風の軸となる機能をその最たる場所(3階角)に配置しサンルームとしました。これは、金沢の冬期での生活を考慮したものであるとともに、季節に応じてあるいはライフスタイルに応じてフレキシビリティのある使い方ができるフリースペースでもあります。中間期にはサンルームの窓を開け放し、半外部空間としても利用できるなど、使い方は様々です。
ルーフテラス
5世帯の住戸には、専用のルーフテラスが設けられています。ここでは、プライバシーを確保されたもうひとつの部屋として光・風・空を独占した生活が可能です。また、内部空間と連続して設けられているために、室内に開放感を与えてくれます。
外構
植栽計画は、各ポーチ入口に高木(常緑広葉樹のブナなど)を植えます。また、玄関脇は、住人が各自使用できる庭で各自ガーデニングを楽しむように、更地の状態としておきます。 |